副業編・キャバ嬢だったあれこれ

残念な顔に産み落とされたが故に、全く人気がなく全然指名が取れなかった屈辱的なキャバ嬢ではあったが、世の中の違うサイドが見る事が出来て経験としてはプラスになった。

客層は良かった方だと思う。ほとんど駐在員のおじ様相手だったので、身元不明な失礼な人も少なかった。日本でキャバ嬢をやっていた友達から聞いた話だと、「ブス」だの「チェンジ」だの、面と向かって言われるとの事だったので覚悟していたけれど、幸いブスと罵られる事は一度もなかった。(でも、チェンジはされた事がある。それが何を意味するかはお分かりだろう。)仕事なので、オフィス同様、愚痴を言い出したらキリがない。良かった点を思い出してみる。女の職場なので、オーエル同様、泥沼かと思いきや女の子達は案外みんな、割り切ってさっぱりしている子ばかりだった。勘に触るぶりっ子は殆ど覚えていない。お客さんの前でも、控え室でも、言いたい事をはっきり言う子が多かったので一緒に居て楽しかった。客の前ではある程度女優の私たちだが、それでも女特有の裏表を感じることはほぼ皆無だった。私も最初はお客さんの前では取り繕って可愛い子ぶっていたけれど、限界を感じて素のお笑い自虐キャラに戻った瞬間、指名が増えたという皮肉。男性スタッフも常に気を使ってくれていたし、謙虚で腰の低い人たちばかりだった。職場にもよるのかも知れないけれど、働いてみて居心地の良さに驚いたものだ。プライベートでオフの日には皆でピクニックに行ったり、と、全体的に仲も良かった。目標を持って努力している子がほとんどで、本業の女の子はほとんど居なかった。だから全体的にゆるかったのかもしれない。日本で水商売経験のある女の子からは、日本はもっと厳しく、女の泥沼劇も日常茶飯事とのこと。私が居た環境は少し特殊だったとは思う。

仕事内容が自分の性格と合っていないので、もう二度とやりたくない。でも、あの居心地の良い職場と華やかな夜の世界は、また戻りたいと思わせる誘惑に満ちている。ここで戻ってしまうと、もう帰って来れない。私は夜の世界に足を踏み入れた事は一切後悔していないし、二十代の間に良い経験が出来て良かったと思っている。この経験をこれからも隠すつもりはない。忘れてはならないのが、水商売の経験があると言うだけで偏見で見られたり、売春婦の如く見下される可能性がある。職業に貴賤はなし、という言葉はあるけれど、現実世界はそうはいかない。過去はもう変えられない。ちょっと大げさかもしれないけれど、キャバ嬢だった過去という十字架を背負って余生を過ごさなければならない事実は、私がいくつになっても、もう避けられないのだ。

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