国際交流できない

大学時代、大変お世話になった友人の結婚式に招待された為に帰国した。
素晴らしい旅行プランに半年前から心躍らせ、一切空気を読まずに二週間の長期有給を取った。

ただ、東京のホテルは高い。
ニューヨークの底辺中の底辺で生きている私は、
経済的に大変厳しいので、宿泊費を浮かす為に外国人向けのホステルに宿泊した。
個室でプライベートは確保出来るのだが、お風呂とトイレが共用で、
一階には広めの共用リビングルームが併設されていた。

チェックインの際、このリビングルームに足を踏み入れた時に感じた、
絶賛国際交流実施中の空気感に耐えられなかった。
海外好きの日本人宿泊者が積極的に外人に話しかけて友達になろうとしていたり、
あるいは友達になったので、東京を観光案内してあげるプランなどを練っている事が予想される談笑。
夜になれば、インターナショナルな顔ぶれが輪になって酒盛り国際交流。
恐らく、知り合ったばかりで意気投合し、世界は狭い&みんなトモダチの精神で行われたパーティーと伺える。

10年前、国際コースというハイカラな名前の教育課程で英語を勉強していた私であれば、
喜んで輪の中に入って国際交流しながら胸をときめかせていたであろう。
実際、高校生の頃にそういった寄り合いに何度か参加した事がある。
異国の人とのふれあいに心躍らせてるブス女だった。

しかしながら、加齢のせいか、今回の旅行でのこの雰囲気はあまりにもしんどすぎた。
もうこの歳になると、仕事以外のシチュエーションでわざわざ自分から声を掛けて友達を作ろうというパッションが残っていないのだ。
趣味で2年程続けているヨガでも、先生と軽く話す程度でヨガ友達は未だに一人もいないし、作る気も一切ない。ヨガを習いに行ってるんだから、ヨガだけやってればいい話である。友達を作る労力は新しいポーズを覚える労力に回したいのだ。国際交流となると一層のことハードルが上がる。

ウェア•アー•ユー•フロム?から始まる面倒な自己紹介、とりとめのない趣味の話や職業など、一から相手に探りを入れなければならない。オウ!アーユーフロムキョウト?アイワナゴーゼアサムタイム!この安っぽい感嘆は、ここ十年弱で何万回も繰り返され、正直聞き疲れた。何故、自ら疲れる事をしなければならない?今の私は、人種•国籍問わず話の合う人とのみ仲良くなりたいと思ってしまう。

追い打ちをかけるように、私が宿泊していた三階のインターネットがダウンしていた。
日本ではデータプランがないため、インターネットにアクセスできない。このままでは、式場への行き方や乗り換え案内が調べられないではないか!
幸か不幸か例の一階リビング•ルームのインターネットは問題なく使えたので、調べものはあの部屋で済ませなければならないという事態に陥ってしまった。

しぶしぶiPhone片手にリビングルームへ赴いた。
着物を着て写真撮って貰っている日本人女子大生、敢えての着物で日本人らしさアピールで、あわよくば異国人の注目を集めようとしているのか。そうゆえば留学初期は浴衣を着たり、持ち寄りパーティーで意気込んで和食を作ったりしていた。たどたどしい英語で話す日本人と訛りの強い英語で話すヨーロッパ人…素晴らしい国際交流である、ただ、今の私にこの空間は正直しんどい。
誰とも目を合わせないように端っこに座って乗り換え案内を調べていたら、黄色人種の異国人男性が話しかけてきた。日本人女と仲良くなりたかったのであろう、しかし国際非交流状態で不機嫌だった私は、仏頂面で応対し、一方的に会話を切ってしまった。ちょっと申し訳なかったが、きっと世界では軽い•すぐヤレるで有名な日本人女であれば誰でも良かったのであろう、是非とも他を当たって頂きたい。
そして、時折注がれる日本人女子達からの冷たい視線…わざわざ外人向けホステルに宿泊しているのだから、日本人と関わりを持つのは極力避けようとしているのだ(避けられる前にこちらからも願い下げだが)ああ、私もそうゆえば、留学前は「日本人とは極力関わらない」と確固たる意思で渡米した。変な意地を張って相手が日本人だと分かれば出来るだけ避けるようにしていた。今回、主人も旅に同行したのであるが、チェックインの際にリビングで二人で話していた時に受けた視線は更に厳しかった。何?あのブス女!やっぱり白人の女はブスなのね!余談であるが、主人は七日間の滞在でホステルに居る間はほぼ自室に引きこもっていた。リビングルームで過ごしたのは2回(チェックイン&アウト)だけだった。元々引きこもり気質なのだが、理由は私が述べていた事とほぼ同じで「他人と関わるのが面倒」との事。

結婚式がいかに素晴らしかったかは長くなるので割愛させて頂く。
同じ大学時代の友達で、大阪から出席した子はビジネスホテルに宿泊したらしい。
値段を聞いてみてびっくり、私が泊まったホステルとほぼ同額だったのだ!
しかも、都心でかなり便利の良い場所である。(山手線沿線)
ホステルが安いという先入観がすっかり落とし穴になっていたらしい。

ホステルに宿泊した事で、確実に自分が年老いている事を肌で実感できた。
この先、もう仕事以外で国際交流は出来そうにない。
まあ、元々日本を代表出来るような立派な人間でもないし、誰にも迷惑はかからないだろう。

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