私が地元を嫌う理由

初恋の人をFacebookで探してみよう、と、ありがちな好奇心が芽生えた。
私は田舎出身なので、地元の町の名前で検索するとあっさりと見つかった。

この初恋の彼、十数年前のちょうど今頃である中学校の卒業式に告白したのだが、
見事に撃沈したのである。理由は、小学生の時に私の事をいじめていた女が好きだから、
君とは付き合えない、という屈辱的な展開であった。
思い起こせば、私の非モテキャリアはもう十年を超えているのか。
そろそろ役職を貰っても良い頃かもしれない。

昔話はさておき、私は自分の地元が大嫌いだ。
以前、「ひねくれブスと結婚式の葛藤」の記事でも触れたように、私は夫婦別姓なのだが、小•中学校時代の同級生から雲隠れするだけのために、Facebook上では嫌々旦那の名字を名乗っている。

ロクな思い出がないし、出来るのであれば思い出したくもないあの頃。
もっと言うのであれば、私があの町出身であるという事実さえも揉み消してしまいたい。
新しく知る人には見栄を張って「京都出身」と自己紹介するが、私の地元は京都の奥ゆかしさからは掛け離れた品のない町なのだ。

田舎(郊外)だったので、中途半端なヤンキー(暴走族)が多かった。
私は、小•中と公立へ通っていたのであるが、特に私が通っていた中学の荒れ方は半端じゃなかった。授業中に教室内でタバコ吸う生徒とそれを注意しない教師、悪趣味なボンタンや白い学ランで廊下で自転車を乗り回す、万引き、無免許運転、校内での飲酒、他生徒への暴力、援助交際、望まぬ妊娠•中絶など挙げだしたらキリがない。もっと言うと、数年前に中学時代の同級生が殺人容疑で逮捕されて全国ニュースになっていたらしい。

ご存知の通り、私はネクラで地味で、極めて存在が薄かったのであるが、ティーンエージャー特有のグループ社会に属さなければならない無意味なプレッシャーと作り笑いで過ごした中学時代だった。
しかし、私はくだならいいざこざに巻き込まれた為に当時所属していたグループから外されてしまった。所属していたバスケ部で仲間外れにされてしまい、その上運動神経が鈍い私は、ドリブルの練習をしている後ろ姿を見て子馬鹿にされたり、無視されたり、練習試合の時に一人でお弁当を食べた、あの辛かった日々を未だにしつこく引きずっている。せめて少女漫画のような美女であれば、男子生徒からのフォローもあっただろうに、この顔に生まれ落ちてしまったのだから、どうしようもない。

この旨については、少し前に話題になった綿谷りささんの「蹴りたい背中」で十分に表現されているので、そちらを併せて読んで頂きたい。まさにあの独特のヒエラルキーの中で私も生活していた。
当時の私は、とにかく一刻も早くあの町のコミュニティから抜け出したかった。
両親の協力の元、高校からは私学に進学させてもらい、非モテながらも充実した楽しい高校生活となった。高校からは地元との関わりが薄くなり、今となっては地元の友人は数える程度である。その数人の中学時代の友人から、私の中では完全に過去の人たちとなった中学時代の同級生の話を帰国する度に毎度聞かされる。

ここからが本題である。
私の地元の人間は、どうやら田舎特有の地元密着型が多い。
地元を愛しすぎているのか、はたまた外の世界へ出るのが怖いのかは不明であるが、
とにかくあの町を出たがらない人間が圧倒的多数を占める。

アラサーである私の周りの、高校•大学時代の友人達もここ2-3年は結婚•出産ラッシュだ。
しかし、小•中時代の同級生はやたらと十代での結婚•出産率が高い。(要するにデキ婚)
その上、このデキ婚カップルの八割以上が同じ小•中学の同級生同士なのだ。
これが一概に悪い事のように言ってしまうのは良くないのは分かっている。
しかし、このカップル達は更に同じ小•中学の同級生間で不倫や浮気などの不貞行為を行ったり、略奪愛に至ったりと、くだらないドラマが徹底的にが同じコミュニティで繰り返されているのだ。

私が中学時代に塾が同じで、そこそこ仲良くしていたM子ちゃんもその一例。
私自身は彼女と付かず離れずの距離感を保っていたのだが、彼女は自分より気の弱い女の子に対しては上から目線で物を言う節が時折伺えた。今でも連絡を取っているN子は彼女から被害を受けており、更に同じ中学の大半の女子生徒から嫌われていた。私が高校に入学してからは、すっかり疎遠になってしまったM子ちゃんだが、例の仲良くしている地元の友人達によると、彼女は高校に入学してからは、あばずれになってしまったらしい。あばずれになっただけで、M子ちゃんを責め立てるのは、大きなお世話になるかもしれない。ただ、私がどうしても受け入れられなかったのが、M子ちゃんが取っ替え引っ替え寝ていた相手が、全て小•中学校の同級生だったという事だ。当時はいきがっていた不良達も、歳を取るに連れて徐々に誰からも相手にされなくなっていく。そんな不良達を狙ったり、非モテで大人しく、言葉を発していた事すら思い出せない同級生男子を相手に自分を安売りしていたらしい。N子は聞いてもいないのに、M子ちゃんの濃厚な3P話を聞かされたらしい。(もちろん、相手は中学時代の同級生)
そんなこんなで、地元の女友達から完全に距離を置かれてしまったM子ちゃんのドラマのエンディング。中学時代の同級生O君が結婚し、半年後に奥さんが妊娠した。同時期にこのM子ちゃんもO君の子供を妊娠したらしく、最終的には略奪愛でO君と鞘に納まったらしい。余談であるが、O君は中学時代に女子生徒から「キモい」と、かなり嫌われていた生徒である。

アメリカでも、田舎の地区ではよくある話らしい。例えば、いとこ同士での結婚は、日本でも比較的タブー視されているが、アメリカは親族同士でのつながりがより固いので、日本よりキツい偏見の対象となってしまうらしい。アメリカでは、「ホワイト•トラッシュ」と呼ばれる白人低所得者層でよくあるとのこと。この話を聞かせてくれたアメリカ人の友人も、かなり軽蔑的な目線で話していたのが印象的だ。

私の出身地でのこのような出来事も、近親相姦とまでいかないがそれに通ずるものがあり、故郷のコミュニティから抜け出せないでいる同級生達をどうも侮蔑的な視線で見てしまう。ただ、本人達が望んで地元に残っているのであれば仕方がない話なので、私が横からどうこう口出しするのは筋違いだが。

例の初恋の彼に、「私も結婚くらいできるわよ!」と、僅かに残っている女の底意地とプライドの為にFacebookで再度連絡を取ってみたい気持ちも多々あるが、同時にあの頃の同級生達と芋づる式にネットワークを再構築する羽目になってしまう。ささやかなプライドの為に、葬り去ってしまった過去の墓を掘り起こすのは、ちょっとリスクが高すぎるようだ。

Advertisements