ニューヨークのキャバクラ、こぼれ話

ちょっと前に、嬢時代の同僚が日本へ帰国との事で、お別れ会の為、久々にキャバ時代の仲間と再会した。マイペースで気さくでスカしてない、相変わらずな皆でなんだかホッとした。私は嬢時代の同僚が今でも大好だ。

さて、久々に再会して思い出した、嬢時代のエピソードをご紹介させて頂こう。

1. 人事の岸田さん
失職中だった私は、人材派遣を通して、某日系企業へ面接へ行った。
思いの他厳しい質問攻めに遭い、肩を落として帰って来たのであった。
所謂、鬼面接官だった。
その面接官はくるりに居そうだったので仮に岸田さんとしよう。

クラブで団体客が来たとの事で、席につく。と、そこには岸田さん!
なんたる偶然!!顔バレすると色々と気まずいので、出来るだけ岸田さんと目を合わせないように俯く私。当の岸田さんはというと、鼻の下を伸ばしながら嬢と酒を交わしている。終いには、デリヘル嬢を呼んだ出来事を、事細かに、楽しそうに、熱く語っているではないか。あの鬼面接官が…。

ニューヨークは広いようで狭い。
特に日本人コミュニティは知り合いの知り合いは必ず繋がっていると言っても過言ではない位に狭いのだ。

ちなみに、岸田さんは私の顔を認識しなかった様子なので安堵した。
鬼面接官も結局はただのエロ親父なのか、と思えば次回の面接はもう少し上手く行きそうな気がした。

2. 待機中
指名が取れない、下からトップのヘルプ嬢だった私は、いつまで経っても名前が呼ばれない売れ残りキャバ嬢だった。年齢もアレだったので、周りからは「姉さん」と呼ばれ、マネージャーからは「君、また待機?」と嫌みを言われ、ブスが故に客や従業員から人気嬢と比べられては落ち込みながらも、自分が女子のヒエラルキーでどの辺の立ち位置に存在するか再確認できた貴重な1年間だったと思う。キャバクラ勤務をきっかけに「もしかしたら私も案外イケる口かもしれない」夢想は見事に掻き消された。現実を受け入れるのは厳しく辛いが、この職歴故に自分の容姿に関してはかなり謙虚になれたと思う。

さて、精神的に追い込まれていた当時の私は、何故かハリーポッターにハマってしまった。
ちょうど最終章•七章の「死の秘宝」が映画で公開されていた頃だ。
待機中にハリーポッターを読んで現実逃避していたのである。
ことあるごとに周りの嬢たちに「ホグワーツから招待状が来ん!」だの、「ダンブルドアのアシスタントか、図書館の事務職でいいから住み込みで雇ってくれんかの」などとのたまわり、当時の本職•出版社の上司であるJ子からパワハラの電話が来ら「セクタムセンプラ!」と唱えて抹殺していた。(当然死んでいない)J子が発狂したら、一方的に電話を切り、受話器を上げ、仕事の手を止めてハリーポッターの動画を観て無言の抵抗をしていた。

J子と私の二人のみの会社で福利厚生なし。フルタイムのバイトというか、J子の小間使いだった。ハリーポッターに夢中になりすぎて、「アズカバンの囚人」を片手に客席に着いた事もある。(無意識に手にもって客席に行ったらしい)重症だ。お分かりの通り、当時の私は本当に精神科へ通っていたので、この虚言や奇行も頷ける。余談だが、スネイプ先生と髪型被ってるで、って言われたので、さすがにそれはマズいと思ったので美容院へ行ったのは言うまでもない。

色々あった嬢時代。足を洗った今となれば懐かしい話であるが、未だに「iPad買ってくれるオッサンおらんかの」やら「あのレストラン、自分のお金では行きたくないよね。ここはオッサンに…」の口癖が抜けないままだ。

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